こんにちは。オガワです。今回は角換わり5八金・4六角・2六歩型の対策について検討していきます。
今回のポイントは以下の2つです。
- よくある右玉ではなく積極的に戦いを起こす
- ▲4六角と打たれる前に仕掛ける
※この記事は筆者独自の研究とプロの将棋、ソフトの評価値などを基に執筆しています。内容はあくまで個人の見解ですので、ご自分でも改めてソフトなどで研究することを推奨します。
他にも角換わりに関する記事を書いているので是非ご覧ください。
前提
どのような形を考えるか
まず、今回は先手が以下のような形を目指すとします。
2024年1月現在流行っている角換わり4八金型が出現し始めたころにはプロでもよく指されていた形です。
アマチュアではこの形を指す方が今もよくいる印象です。
これに対して後手が6二金型に組んで積極的に戦う手順を検討します。
2六歩型について
先手の2六歩型は2五歩と飛車先の歩を伸ばしている形と違って▲2五桂と跳ねる筋があります。
これは下の参考図のように▲5五角と出る筋などと組み合わせるととても効果的になります。
また、2六歩型にするかどうかは先手の権利です。
具体的には初手から▲2六歩△8四歩▲7六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀のような出だしを選べば、自然に2六歩型の角換わりに誘導することができます。
後手はどう対抗するか
4六角型に対する対抗策は主に次の三つが考えられます。
- △6三金と6四の歩を守り、機を見て△6五歩から仕掛ける
- 右玉から千日手を狙う
- △6五歩から仕掛ける
一つ目に関しては参考図のように桂跳ねが活きる展開になりやすく、後手から仕掛けるのが難しいケースが多い印象です。
二つ目の右玉はおそらく最もメジャーかつ、かなり有力な対抗策です。4六角型は4五の地点が埋まっていることで▲4五桂と跳ねられず、先手からの仕掛けが難しい展開になりやすいです。
その特徴を利用して、右玉から千日手を狙うという仕組みです。また、▲2五桂の筋で狙われにくい左辺に玉を移動しているという点も大きいです。
三つ目が今回検討する形になります。
上で述べたように右玉は有力な対抗策ではあるのですが、当然自分から仕掛ける展開にはなりません。また、千日手が成立するまでに先手が無理矢理暴れてくる展開も考えられるので、丁寧に受ける技術とそれ相応の時間も必要になります。これは時間の短い将棋を指すことが多いアマチュアにとってはあまり好ましくありません。
そこで、千日手を狙うのではなく自分から仕掛けてしまおうというのが今回の記事の発想です。
では次の章から具体的な手順を見ていきましょう。
具体的手順
▲3七桂と跳ねる前に▲4六角
本筋に入る前にちょっとした注意をしておきます。
もし先手が▲3七桂と跳ねる前に▲4六角と打ってきた場合は△4四歩と突く手が成立します。
図2のようになると、形勢は互角ですが、4五の位を奪還できそうな後手としては不満がありません。この後は△4五歩~△3三桂~△4三金~△3二玉のように上部に厚く構える展開が考えられます。
これで後手が有利になるわけではないですが頭に入れておくと良いでしょう。
△6五歩の仕掛け
ということでここからが本題です。上で述べたように▲3七桂と跳ねる前に▲4六角と打つと4五の位を奪還される変化が生じるので、先手としては図3のように▲4六角と打つ前に▲3七桂跳ねることが考えられます。
しかしこれには機敏な仕掛けがあり、後手が十分に戦えます。
図3からの手順
△6五歩▲同歩△同銀(図4)
最後に△同銀と取るのがポイントです。
代えて△同桂と取ると、参考図のような展開に合流してしまいます。
図4からは
- ▲6三歩を入れてから▲6五銀
- ▲6三歩を入れずに▲同銀
の2つが考えられるのでそれぞれ見ていきましょう。
図4から▲6三歩
図5は図4から▲6三歩と打った局面です。6二金型に対して歩で叩くこの筋はよく出てくるので、知らなかった人は覚えておきましょう。△同金と取れば▲7二角が飛金両取りになる仕組みです。
図5からの手順
△7二金▲6五銀△同桂▲6六銀△8六歩▲同歩△8八歩(図6)
最後の△8八歩も相居飛車ではよく出てくる手筋で、金で取れば形が乱れ、玉で取れば当たりが強くなります。以下で①▲同玉と②▲同金を順番に見ていきます。
図6からの手順①
▲同玉△7五銀▲6七銀△6六銀▲同銀△7五銀(図7)
図6から▲同玉には△7五銀!が目の覚めるような打ち込みです。
もし▲同銀なら△5五角が厳しく、▲同歩なら△8六飛~△6六飛と飛車が綺麗にさばけて後手良しです。したがって先手は▲6七銀と支えるしかありませんが、△6六銀~△7五銀とすれば千日手ルートになり、後手としては不満がないでしょう。
図6からの手順②
▲同金△7三角▲5九角△4六銀▲2七飛△8四角▲7五歩△同角▲同銀△同歩(図8)
▲同金には△7三角と打つのが相手の4五歩型を咎める好手です。続いて▲2七飛と飛車の横利きがそれた瞬間に△8四角と5七の地点を遠く狙うのも感触の良い手です。
図8は5七の地点が薄くなっており、後手が十分戦える形勢です。図8まで進んでみると、△8八歩に▲同金と取らせたことで先手陣の形が乱れていることが良く効いています。
図4から▲同銀
図9は図4から▲同銀と取った局面です。▲6三歩を入れなかったことで少し状況が変わります。
図9からの手順
△同桂▲6六銀△8六歩▲同歩△8八歩▲同金△8六飛(図10)
△8八歩に対して▲同玉なら▲6三歩を入れたときと同じように千日手になります。
一方、▲同金に対して前と同じように△7三角と打ってもよいのですが、今度は▲6四歩が「大駒は近づけて受けよ」の格言通りの手で、△同角に▲5五銀打のような筋があるのが少し気になるところです。
それを気にするならば、△8六飛と走る手があります。これには変化が多くあるので、手順の例を一つ紹介します。
図10からの手順例
▲8七銀△8一飛▲8二歩△同飛▲5五角△7三角▲同角成△同金▲8六歩△6四歩(図11)
△8六飛は次に△7六飛の筋を見せているので、▲8七銀と防ぎます。以下、▲8二歩~▲5五角と後手陣を乱しにかかりますが、流れが落ち着いた図11は桂の活用ができていて、どこかのタイミングで△3九角のような筋もありそうな後手が十分戦えそうです。
まとめ
今回のポイントは以下の通りです。
- ▲4六角と打たれる前に△6五歩と仕掛ける手がある
- △6五歩▲同歩には△同桂ではなく△同銀
4六角型には右玉が最有力とされていますが、積極的に仕掛けを狙っても互角以上に戦うことができます。攻めるのが好きな方はぜひ実戦で試してみてください。
何か記事の中で気になることや、ここは間違っているんじゃないか?というところなどございましたら遠慮なくコメントをくださると嬉しいです。
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